Glanz
2006年10月
ブレーン/島根県立石見美術館「スポーツウェアの革命 もうひとつの20世紀ファッション」
 
島根県益田市にある島根県立石見美術館では、現在、開館1周年記念展として「スポーツウェアの革命 もうひとつの20世紀ファッション」を開催中。スポーツウェアとそのエッセンスを引き継ぐさまざまな衣装や写真、版画などの作品により、19世紀からおよそ100年間の西洋ファッションの流れを見通せる内容となっている。ファッションデザイナーの森英恵さんの郷里が近いということもあり、当美術館は服飾のコレクションに力を入れてきた。服飾にフォーカスした展覧会は今回が初めて。「これを機に地域周辺はもちろん、近隣の広島県、山口県に住む若い人たちも取り込みたい」という思いも深く、ポスターやチラシ、フラッグなどの販促ツールも、赤、白、オレンジ、グリーンの色使いでポップなイメージを醸し出している。ツールはほかに、カタログ、シール仕様のカードなど。100年前の服をカジュアルに見せたことで、当時の洗練されたデザインが一層際立って見えるのが面白い。


これらの販促ツールを制作したのは、美術館関連の仕事を多く手掛けるアートディレクターの大溝裕さんと、グラフィックデザイナーの赤松幸子さん(共にGlanz)。美術館から直々に指名があり、6月から制作がスタートした。「全国的にこの新しい美術館の存在を知ってもらえるよう、印象に残るデザインを目指していきました」(大溝さん)。アートディレクションの方向性は、老若男女問わず華やかで強いイメージ。今展の内容から、ポスターやフラッグを見た人達にオリンピック会場に行く時のようなワクワクした印象を与えようと考えた。「まず思いついたのは、1体1体をしっかり見せ、なおかつカードを捲るような動きのある体裁のカタログでした。それらのカードを均一に並べたとき、昔のオリンピックのポスターのようなグラフィカルで強い印象を持ったポスターへと着地したんです」(赤松さん)。さらにもう1点の販促物として、ポスター上に並ぶ20枚のカードをバラバラに切り離したメッセージ入りのシールも提案。これもポスターやチラシと同様、周辺の美術館やギャラリー、学校、カフェなどに設置されたが、多くの人の興味を引き、「全種類欲しい」という声も届いたという。


今回の制作にあたって苦労したのは、20枚のカードを継ぎ合わせたポスターの色合わせだ。「並べて撮影した1枚のポジをポスター用に印刷するので、どうしても作品1点1点が実物の色と違って出るんですね。その調整にかなり時間を要しました」(大溝さん)。その努力の甲斐あって展覧会の動員は順調。ポスターの反響も高く、現時点のアンケート集計でも、「ポスターに惹かれて」という回答が約50%を占めている。石見美術館としても今回が良い効果につながったことで、販促物やデザインの重要性を再認識。今後さらに県外PRを念頭においた広報に力を入れていく構えだ。


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