| 2003年6月 ブレーン/うらわ美術館「融点・詩と彫刻による」+ 大溝裕(Glanz)
Glanzではうらわ美術館の準備段階から携わり、展覧会のポスター等はもちろん、ロゴマークなどCIに関するものから、美術館が発信するニュースレターまで、同館の様々なグラフィックツールを制作している。「最初に学芸員がおっしゃったのは、こういう企画なので人がワッと集まるようなことは期待していない。極端に言うとわかる人だけが来てくれればいいので、間口は狭くても構いません。その分、奥行きが深いアプローチで、見る人が見ればわかるものであるようにしてほしい。ということでした。僕はアートを見るのが好きなので、せっかく展示するからには普段あまり関心のない人も含めてより多くの人に見に来てほしいと思うんです。でも、今回は全く逆のアプローチ。そういうものを要求されなかったので、最初は戸惑ってしまいましたね」 カタログをつくる上で学芸員が提示したキーワードは「新しい本の概念」だった。いろいろと試行錯誤した結果、できあがった表紙は、黒い布張りに銀の箔押し。しかし、表紙に書かれた文字はタイトルではない。この展覧会の企画意図について、学芸員の森田一さんがフライヤー用に書き下ろした文章をそのまま載せたものである。「この文章を読んだとき、一編の詩のようなイメージが頭に浮かびました。今回は、詩と彫刻の展覧会。だったらそれをそのまま表紙に持ってきてはどうかと思い付きました。カタログ全体を通して、文字は大きめに読みやすく、オーソドックスな文字組にしながらも、見れば見るほど味わい深く見えるよう、様々なところに神経を使っています。ある意味ふつうで素朴で、一見何もしていないように見えるものが、この展覧会にとって最もふさわしいカタチだと考えています」(―グラフィックデザイナー・赤松幸子) Glanzでは、うらわ美術館以外に、埼玉県立近代美術館やパルコギャラリーなどのグラフィックも多く手がけている。こうした仕事を手がける中で感じることを語ってもらった。「複数の作家が参加するグループ展の場合、美術館側としては“この作品は重要だから大きくしてほしい”とか希望があることが多いのですが、それはあくまでも美術館サイドの思いに過ぎず、見に行く人たちは誰の作品が重要で大きいとか、小さいとか、気にしていないと思うんです。企画する人たちにしてみれば、出品される作品はかわいくて全部出したいというのが本音だと思うし、僕も企画の意図はきちんと聞きますが、逆にそういうことにあまりとらわれすぎたり、気を使いすぎないようにしています。あくまでも観客の立場で“面白いな、見に行ってみたいな”という観点が大事なので。美術という特殊な世界であっても、ちょっと下世話かなと思うくらい広告的につくって、誰からも面白がられるものを出していくこもっと必要なんじゃないかなと思います」 |